キタノホテルの歴史

キタノホテルの歴史は、1964年「高級アパートメントホテル」の草分け的存在として生まれたのがそのはじまりです。
東京とNY、ふたつの国際都市における、50余年に及ぶ当ホテルの歩みをご紹介いたします。

1964年TOKYO 北野アームス竣工

東京オリンピックを間近に控え、日本が高度経済成長期の真っ只中だった頃。ホテルの前身である「北野アームス」は、東京の中心部、千代田区平河町に誕生しました。

設計者は東京芸術大学吉村順三名誉教授で、地下にたっぷりと駐車スペースをとり、屋上にはプールをしつらえた戦後初の家具つき高級アパートメントホテル。当時、こうした欧米流アパートメントホテルは類がなく、オープン当初より多くのお客様にご入居いただきました。

アメリカを代表する数々の大企業がパビリオンを建て、39ヵ国参加のもとニューヨーク世界博覧会が開幕。故北野次登は、初の海外工事としてニューヨーク世界博日本館の建設に携わりましたが、その際、英語が不得意で、かつ他国の文化に慣れていない日本人がニューヨークで生活することに不便さを感じたといいます。

日本人が安心して滞在できるホテルを建設すれば、もっとアメリカと日本の距離が縮まるのではないか。そして、日本のおもてなしの心をもっと世界中に広めたい……。

これが「ホテルキタノ」構想のきっかけになりました。

もとはロックフェラー家系列の鉱山会社が所有していたアパートだったというマレーホテルを買収し、内装を改修。マンハッタン街の中央に位置し、世界最大のオフィス街と歓楽街から適度に近い場に「ホテルキタノ」はオープンしました。

当時はアメリカ東海岸で日本人がホテルを所有して経営するのは前例がなく話題になりました。当時のニューヨーク市長（代理）ジョン・リンゼイ氏からは「ニューヨーク市の鍵」をもらって歓迎され、また、テレビ局でも北野次登が番組に出演しました。

第二次世界大戦が終わったばかりで日米両国ともに過去の傷が癒えていない中、日本企業がアメリカの地でホテルを営業することが、戦争の過去を乗り越え日米の新しい時代を切り拓く架け橋になったと言えるかもしれません。

オープン当初からニューヨークのお客様はもちろん、他国からも多数のお客様をお迎えしていたキタノホテルは、1995年に客室や会議室、バー、レストランを増築し、名称を「ザ・キタノ」と改めてリニューアルオープン。

新たな時代への一歩を踏み出しました。

ニューヨーク市で唯一の日系ホテルとして、40年の節目を迎えることができました。企業売買が盛んなニューヨークにあって、長きに亘って経営者が変わることなくホテルを続けてこられたのは、ひとえにお客様からのご支持をいただいた賜物です。

その努力が認められ、当時のニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグ氏から改めて歓迎の表彰を授与されました。今も変わることなく、独自のホスピタリティを提供し、世界中の政府要人・文化人のお客様を幅広く迎え入れています。

1964年に竣工し、高級アパートメントホテルの草分け的存在だった「北野アームス」が、ラグジュアリーブティックホテル「ザ・キタノホテル東京」としてグランドオープン。

場所は東京都千代田区平河町そのままに、これまでの歴史を引き継ぎ、多くのお客様にくつろいでいただけるパーソナルなサービスを提供してまいります。